在宅翻訳とオンサイト翻訳の違い(主観込みで)

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ほぼ10年、在宅フリーランスで翻訳者をやってきましたが、一度だけ、ケガをした人の代役で、3週間、某アパレル企業でオンサイト翻訳をやったことがあります。(オンサイト翻訳とは、クライアントの企業の建物内で作業する翻訳のことです)

わずか3週間でしたが、とても有意義で、自分にとって宝物のような期間でした。
今回は、その時に私が感じた在宅翻訳とオンサイト翻訳の違いについて書こうと思います。

まず、派遣先の企業の概要です。
・派遣先の業種:外資系アパレルメーカー
・部署名:通訳・翻訳部
・部署の構成:正社員3名、外部の通訳・翻訳者5名

外部の通訳・翻訳者5名のうち、2名が通訳・翻訳兼任で、3名が翻訳専任でした。3名の翻訳専任のうち1名がケガで休職したため、私が代役することになりました。

実は、私、かなりの人見知りで、すでに出来上がっているコミュニティに単身乗り込むのは思いっきり不安があったのですが、そこの人たちはとても仲が良く、部の雰囲気もすばらしく、こんな私でもとても暖かく迎えてくれました。彼らと一緒に働けたのはとても幸運だったと思います。

さすがアパレルメーカーだなぁ、と思ったのが、かっこいい服を着たかっこいいモデルの写真パネル(特大)がオフィスの壁のあちこちに飾ってあったことです。他の業種ではまず見られないオフィス風景ですよね。あと、勤務時にスーツの着用は禁じられました。誰もスーツ着てないから、もし着てきたら周りから浮いてしまうのでやめてね、というのが理由だとか。

在宅翻訳とオンサイト翻訳の違い

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それでは、オンサイト翻訳も経験したことで私が認識した在宅翻訳とオンサイト翻訳の違いについて記載していきたいと思います。(一部主観も含まれますのでご了承ください)

オンサイト翻訳は時間給
在宅でする仕事は、原文1文字/1ワードあたり何円、という計算方法が基本ですが、オンサイト翻訳は時間給でした。勤務時間も9:00~17:00(他のメンバーは18:00)で固定でした。納期に間に合いさえすれば何時に働こうが勝手である在宅翻訳とはかなりの違いが感じられました。

オンサイト翻訳はあらかじめ勤務スケジュールが決まっている
オンサイト翻訳は、あらかじめ勤務日が決まっています。一方で在宅翻訳は先のスケジュールが全くも通せません。ずっと仕事が来ない可能性だってあります。安定性から言えば、オンサイト翻訳の方がずっと上ですね。

オンサイト翻訳には通勤がある
まぁ、当たり前といえば当たり前ですが、オンサイト翻訳はその場に行かなくてはなりません。つまり通勤があります。当時、私の在宅での仕事は、明け方に寝て、昼起きるというかなりの夜型だったので、朝9:00の始業に間に合わせるために7:00に起きて8:00に家を出て、ラッシュアワーの電車に乗る、というのはかなりの苦行でした。会社員時代なら当たり前にこなしていたことなんですけどね。長らく在宅で仕事していた私にとってはかなりのダメージでした。

オンサイト翻訳では周りで他の人が仕事をしている
これも当たり前の話ですが、オンサイトでは周りで他の人が仕事をしています。とくに意識していなかったのですが、どうも私には作業中に「う~ん」とか「うおっ」とか「だぁぁぁ!」とか「しまったぁぁ!」とか、声を出す癖があるらしく、オンサイトで作業しているときに、その声に周りの同僚からクスクスと反応があるのが新鮮?でした。また、何かわからないことがあったときに近くに相談できる人が複数いる、というのもオンサイトのメリットですね。一人が訳文に悩むと、周りが一緒になって考えてあげる、という光景をしばしば見ることができます。

オンサイト翻訳では少量短納期の仕事が多い
これは、オンサイトの会社にもよると思うのですが、私が派遣された会社では翻訳担当はだいたい70%くらいはメールの本文を訳していたと思います(ただし、私にはメールを訳すような指示は出ず、出張旅費規程などの社内規定を訳すよう指示されていました)。一方、在宅の仕事では、メールの本文を訳してほしい、という依頼は一度も打診されたことがありません。一般的に、オンサイト翻訳では、納期が極めて短い(その場で訳してほしいくらいの勢いの)案件を任されることが多いのではないか、そういう印象を受けました。

オンサイト翻訳では原文のバラエティが限られる
オンサイト翻訳は、どうしてもその会社の書類の翻訳だけになってしまうので、経験できる分野が限られてしまう、という印象を受けました。私が派遣されたのがアパレル会社だったので、書類はアパレル関係のものが大半を占めます。そこで翻訳をしているとアパレル関係の知識は付くけれども他の業界の知識は身につきにくい、ということが起こります。同僚の皆さんは、さすがに通訳・翻訳を担当しているだけあって、英語力は相当なものでしたが、一様にコンプレックスに感じられていたようなのが「自分には専門分野と呼べる分野がない」ということでした。オンサイト翻訳で経験できる分野の狭さと無関係ではないように思います。

私が感じた在宅翻訳とオンサイト翻訳の違いは、概ね上記に集約されます。

私には在宅翻訳の方が向いていると思うのでこれからも在宅翻訳を追求していきますが、それでもこの3週間のオンサイト翻訳の経験は、なにもかも新鮮でとても貴重なものでした。実は、私が代理していた人がケガから復帰するのが遅れ、もう少し長く留まってほしい旨、打診を受けたのですが、あまり長いこと在宅の仕事を断り続けていると、在宅翻訳者としての復帰が難しくなるだろうと感じられたため、断ってしまいました(後ろ髪を引かれる思いでしたが)。

そしてもう1つ。同僚の方々から見れば、私の在宅翻訳のキャリアは興味の対象だったようです。みんな、私が加わるまでフリーランス在宅翻訳者と接する機会はなかったようで、在宅での仕事がどのような感じなのか非常に気になるようでした。トライアルの申込み方法や報酬の決まり方、仕事を取る方法などを質問されたので、できるだけ丁寧にお答えしておきました。ただ皆さん、当面はオンサイト翻訳を追求していきたい、とのことでした。(私の説明のせいじゃないですよ?)(了)

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