法務翻訳について紹介します

f:id:royo170:20191001222403j:plain

産業翻訳者として、法務翻訳を主力にやらせてもらっているのですが、今回は、なぜ私が法務翻訳を主力の分野として選ぶに至ったのか、そして法務翻訳とは実際にどんな書類を訳すのか、について書いていきたいと思います。

法務翻訳を主力にしている理由

これは翻訳者になる前に一般企業の法務部で勤務していたことが大きいです。法務部では、契約書の作成・審査が業務の大きな部分を占めていました。もっともほとんどが日本語の契約書でしたが・・・。とは言え、たまに出てくる英文契約を担当する英語力のある社員が他に部内にいなかったので、必然的に英文契約はほとんど私が担当することになりました。もちろん翻訳会社を使ってもOKだったのですが、それにはお金もかかるし、稟議も通さなければならないし、で、結局翻訳会社を使わずにすますことがほとんどでした。当時それなりに英語が読めた私は、一生懸命辞書を引きながら英文契約と格闘して徐々に力をつけていき、A4で100ページ以上の英文契約を余裕をもって理解できるようになったころ、「あれ、ここまで英文契約を理解できるなら翻訳者を目指せるのでは?」と考えたことが、後に法務翻訳を主力にする産業翻訳者になるにいたったきっかけです。

でも、私、実は法学部出身ではないのです。大学の専攻は経営学で、社会人としてのキャリアの序盤は半導体商社で営業をしてました。何年か勤務した後、つくづく自分には営業は向いてないなぁと痛感し、キャリアチェンジすることを決断しました。本当に根拠なく直感で、法務が自分に向いてそう、と思ってそちら方面へのキャリアチェンジを図ったのです。そのため法務部員として会社に拾われるまでは、法律は独学で勉強しました。具体的には民法、商法、会社法(当時は会社法は商法の一部だったように記憶しています)を、司法試験向けの教科書を使って勉強しました。法務部員となってからは、業務上必要だったので著作権法をかなり勉強しました。

(↓ 私が翻訳者になるまでのいきさつは、以下にも記載しています)

royo170.hatenablog.com

法務翻訳の内容

f:id:royo170:20191001222531j:plain

さて、ここからは法務翻訳で訳す文書の内容を紹介したいと思います。

まず契約書です。法務翻訳と言えば半分以上が契約書になるのではないかという印象です。契約書の種類は本当に多岐にわたりますが、例えば翻訳学校の契約書翻訳コースで最初に教えられるのが秘密保持契約(NDA; Non-Disclosure Agreement)だと思います。この契約では、何を秘密情報とするのか、秘密情報をどのように取り扱うのか、契約期間満了後の秘密情報の返却方法、などについて記載されることが多いと思います。私が翻訳学校で学んでいたころ、まったく法律関係の教育背景を持たない人達でも、秘密保持契約はあっさり翻訳できていたりするので、この秘密保持契約を訳してみてとくに違和感、というか嫌悪感を抱かないのであれば、そのまま法務翻訳を目指してしまっても十分行けるように思います。
もし私が、翻訳学校の契約書コースの講師だったとしたら、秘密保持契約の次に教えるのは、売買契約でその次がライセンス契約でしょうね。

サイトポリシーなども法務翻訳に分類して良いと思います。webサイトなどで見かける利用規約、プライバシーポリシー、クッキーポリシーなどですね。先月の私の仕事はなぜかこのサイトポリシー関連のものがとても多かったです。

定款も法務翻訳の重要な部分を占めます。定款というのは辞書によると「公益法人・会社・協同組合などの社団法人の目的・組織・活動などに関する根本規則。また、それを記載した書面。」とあります。良く『会社の憲法』などと呼ばれます。会社名、株式(発行可能数など)、株主総会、取締役、会計期間、資本金、などについて定められることが多いです。

就業規則社内規程なども法務翻訳の範疇ですね。就業規則には労働時間、賃金、休暇、退職に関する定めなどが記載されます。社内規程には、出張旅費規程、賃金規程、退職金規程、接待交際費規程、裁量労働勤務規程、個人情報管理規程などさまざまな規程が含まれます。この分野の翻訳は日英翻訳が多いと思います。(英語で書かれた就業規則や社内規程は、日本人社員は頑張って英語で読みなさい、ってことなんでしょうね、たぶん。)

取締役会議事録株主総会議事録も法務翻訳の範疇に入ると思います。議事録には、取締役会や株主総会で決議された内容が記載されますが、それらを訳出することになります。

あとは裁判関係の書類ですかね。これは頻度としてはそんなに多くないと思いますが、実は私の日英翻訳のデビューが裁判関係の書類でした。翻訳会社によると、いつも担当している日英翻訳のエース格の人がことごとく別件で都合が悪く、私にお鉢が回ってきたのです。エース格に断られて、なぜ次に日英翻訳の実績のない私のところに来るのだろう、と思いつつも引き受けたところ、すぐにその理由の想像がつきました。難しすぎて中堅どころにも断られまくったのだろうと・・・。なんどもくじけそうになりましたが、訳し切りましたよ?なぜかチェッカーからは高評価だったという。頑張りましたからね(エッヘン)。

まぁ、他にも法務翻訳に分類される文書はあると思いますが、今思いつくのはこんな感じです。

翻訳者を目指していて、まだ専門分野を決めていない方には、法務翻訳はかなりおすすめです。法務翻訳ができるようになると他のビジネス分野にも応用が利くので、仕事の幅も広げやすいと思います。(了)

にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
↑↑ブログランキングに参加しています。クリックして応援いただけると嬉しいです